深夜酒類の届出と風俗営業許可の違いを行政書士が解説

ガールズバーやバー、スナックなどの飲食店を経営する際、深夜に営業するのか、接待行為を行うのかによって、必要な許可や届出が異なります。しかし、この違いを正しく理解していない経営者が多く、無許可営業として摘発されるケースが後を絶ちません。

2025年6月の改正風営法施行により、無許可営業に対する罰則が大幅に強化されました(個人:最高5年の拘禁刑または1,000万円の罰金、法人:最高3億円の罰金)。そのため、自店舗がどの制度に該当するのかを正確に把握することが、これまで以上に重要となっています。

本コラムでは、「深夜における酒類提供飲食店営業の届出」と「風俗営業1号許可」の違いについて、分かりやすく解説します。

目次

2つの制度の基本的な違い

飲食店が深夜営業や接待行為を行う場合、風営法に基づく手続きが必要です。主な制度は以下の2つです。

深夜における酒類提供飲食店営業の届出(深夜酒類の届出)

深夜(午前0時~午前6時)に酒類を提供する飲食店が対象となります。営業開始の10日前までに管轄の警察署へ届出を行うことで、深夜営業が可能になります。

【対象店舗の例】バー、立ち飲み居酒屋、ダイニングバー、カフェバーなど

【重要な条件】接待行為を一切行わないこと。この届出を行った店舗では、接待は認められません。

風俗営業1号許可(接待飲食店)

接待行為を伴う飲食店が対象です。公安委員会の許可を取得する必要があり、営業時間は原則として午前0時まで(地域によっては午前1時まで)に制限されます。

【対象店舗の例】キャバクラ、ホストクラブ、スナック(接待あり)、接待行為を行うガールズバーなど

項目深夜酒類の届出風俗営業1号許可
手続き警察署へ届出公安委員会の許可取得
提出時期営業開始の10日前まで営業開始の55日前が目安
営業時間制限なし(深夜営業可)午前0時まで(地域により午前1時まで)
接待行為不可可能
2つの制度の比較表

併用は不可能

この2つの制度で最も重要な点は、併用が原則として認められないということです。

・接待を行うなら → 深夜営業は不可(午前0時まで)

・深夜営業するなら → 接待は不可

「深夜酒類の届出を出しているから、多少の接待はいいだろう」という考えは、完全にアウトです。深夜酒類の届出を行った店舗で接待行為を行えば、無許可営業として摘発されます。

何が「接待」に該当するのか

「うちは接待なしでやっている」と思っていても、風営法上の接待に該当している可能性があります。接待の定義を正しく理解することが重要です。

風営法における接待の定義

風営法では、接待を「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義しています。具体的には、特定の客や客グループに対して、単なる飲食行為に通常伴う役務を超える会話やサービスを行うことを指します。

具体的な接待行為(風営法解釈運用基準より)

① 談笑・お酌

接待に該当する

  • 特定少数の客の近くにはべり、継続して談笑の相手となる
  • 特定の客に継続して酒等を提供する
  • カウンター越しでも、継続して談笑すれば接待

接待に該当しない

  • お酌をして速やかにその場を立ち去る
  • カウンター内で単に注文に応じて酒類を提供するだけ
  • 社交儀礼上の挨拶や若干の世間話

② 歌唱・カラオケ

接待に該当する

  • 客と一緒に歌う(デュエット)
  • 客の歌に手拍子をとる、褒めはやす
  • 特定の客に歌を勧める

接待に該当しない

  • 不特定の客の歌に拍手する
  • カラオケの準備を依頼される

③ ダンス

客と一緒に踊る行為や、客にダンスを披露する行為は接待に該当します。

④ 遊戯・ゲーム

客と一緒にトランプやダーツなどのゲームを行う行為は接待に該当しますが、客同士でゲームを楽しむ分には問題ありません。

⑤ その他

客と身体を密着させたり手を握る行為、客の口許まで飲食物を差し出す行為は接待に該当する可能性が高い行為です。

よくある誤解と注意点

誤解①「カウンター越しなら接待にならない」

カウンター越しであっても、特定の客と継続して談笑すれば接待に該当します。2025年6月28日に摘発されたガールズバー「55LOUNGE」は、まさにカウンター越しの談笑が接待と認定されたケースです。

誤解②「軽い会話程度なら大丈夫」

社交儀礼上の挨拶や若干の世間話は接待に該当しませんが、「継続して」談笑の相手となれば接待です。この「継続性」が重要な判断基準となります。

誤解③「今まで問題なかったから大丈夫」

2025年6月の改正風営法施行により、取締りの方針が大きく変わりました。これまでグレーゾーンとされてきた営業形態も、現在は厳格に取り締まられています。「今まで大丈夫だった」は、もはや通用しません。

まとめ

深夜酒類の届出と風俗営業1号許可の違いを正しく理解することは、適法な営業を行う上で不可欠です。

深夜営業するなら接待は不可、接待するなら深夜営業は不可。この原則を忘れずに、自店舗の営業形態を見直してみてください。

もし接待行為に該当する可能性がある営業を行っているなら、速やかに風俗営業1号許可の取得を検討するか、営業形態を変更する必要があります。2025年の改正により罰則が大幅に強化されたことを踏まえ、無許可での営業は避けるべきです。

疑問がある場合は、専門家(行政書士や弁護士)に相談し、適法な営業体制を整えることをお勧めします。適法な営業こそが、長期的な事業継続の基盤となります。

無料相談のご案内

当事務所では、深夜酒類の届出および風俗営業許可に関する初回相談を無料で承っております。

自分の店が接待に該当するか分からない、深夜酒類の届出と風俗営業許可のどちらが必要か知りたい、すでに警察から指導を受けてしまった、営業形態を変更したいが方法が分からないといったお悩みがある方は、まずはお気軽にご相談ください。

【免責事項】 本記事の情報は2025年12月時点のものです。法令や運用は変更される可能性がありますので、実際の手続きの際は必ず管轄の警察署または専門家にご確認ください。本記事の内容に基づいて生じた損害について、当事務所は一切の責任を負いかねます。

目次