【複数店舗経営者は注意】1店舗の違反で全店が許可取消に|2025年改正のポイント

去年まで問題なかった経営体制が、今年から許可取消の引き金になりました。2025年11月28日に施行された風営法改正は、複数店舗を経営している事業者にとって、現在の経営方針を考え直す必要のある改正です。

特に影響が大きいのは、複数の法人に分けて店舗を運営している方、ホールディングス体制でグループ展開している方です。これまで「法人が違えば別の話」として機能していた経営体制が、今回の改正によって根本から変わりました。

本コラムでは、11月28日施行の関連会社が風営法違反を犯したときの影響についてわかりやすく解説します。

目次

風営法改正の二段階施行

2025年の風営法改正は、二段階に分けて施行されました。

2025年6月28日施行の第一段階では、色恋営業の禁止や罰則の大幅強化が先行して動き出しました。特に、無許可営業への罰則は、個人で最高5年の拘禁刑または1,000万円の罰金、法人では最高3億円の罰金に引き上げられています。

2025年11月28日施行の第二段階が、今回の本題です。許可申請や既存の許可維持に直接影響する「欠格事由の拡大」が、この日から適用されています。

何が変わったのか

改正前は、グループ内の関連会社が許可取消処分を受けても、他の関連会社の許可には原則として影響がありませんでした。これは、各法人は独立した存在として扱われていたためです。

この仕組みを利用した動きが業界内で横行していました。警察の立入検査が入ると、取消処分が決定する前に許可証を返納して処分を逃れ、別の関連会社で同じ営業を再開する。あるいはグループ内の1社が取消処分を受けても、他の関連会社はそのまま営業を続ける。風営法の抜け穴として、こうした「処分逃れ」が実態として機能していました。

しかし、今回の改正によって、この抜け穴が塞がれました。根拠となるのが、新たに追加された風営法第4条第7項です。

当該許可を受けようとする者(法人に限る。)と密接な関係を有する次に掲げる法人が第二十六条第一項の規定により風俗営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者である者

イ 当該許可を受けようとする者の株式の所有その他の事由を通じて当該許可を受けようとする者の事業を実質的に支配し、又はその事業に重要な影響を与える関係にある者として国家公安委員会規則で定めるもの(ロにおいて「親会社等」という。)

ロ 親会社等が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、又はその事業に重要な影響を与える関係にある者として国家公安委員会規則で定めるもの

ハ 当該許可を受けようとする者が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、又はその事業に重要な影響を与える関係にある者として国家公安委員会規則で定めるもの

風営法第4条第7項

大まかに言えば、イが親会社、ロが兄弟会社(親会社の別の子会社)、ハが子会社にあたります。許可を受けようとする法人を中心に置いたとき、その上にある会社も、横にある会社も、下にある会社も、すべて影響を受ける可能性があります。

グループ内のいずれかの法人が許可取消処分を受けると、密接な関係にある法人は原則として処分の日から5年間、新規許可を取得できなくなります。それだけでなく、すでに持っている既存の許可についても、風営法第8条の規定により取消処分の対象となる可能性があります。

「密接な関係」とはどこからか

条文にある「実質的に支配し、又はその事業に重要な影響を与える関係」の具体的な基準は、国家公安委員会規則で定められています。

形式的に明確なのは、議決権の50%超を保有している(株式会社の場合)、資本金の半分以上を出資している(合同会社等の場合)といったケースです。これらは会社法上の親子関係として支配関係が認められます。

ただし、株の保有割合が50%未満であっても、取締役の過半数を派遣している、財務や営業の重要な意思決定を実質的に握っている、事業資金の大部分を提供している、主要な取引先や技術を独占的に提供して事業を実質的に支配しているといった実態があれば、支配関係が認定される可能性があります。

「名義だけ別にしてある」「出資割合を49%に抑えてある」という形式的な分離は、実態を伴わなければ意味をなしません。

立入検査後の許可証返納も封じられた

改正前は、警察の立入検査が入った後であっても、取消処分が決定する前に許可証を返納することで、欠格事由の発生を回避することができました。返納してしまえば処分そのものが成立しないため、欠格事由のカウントが始まらなかったのです。

改正後は、欠格事由が成立する起算点が「立入検査の日」に前倒しになっています。処分が決定する前に返納しても、立入検査が実施された時点から欠格事由のカウントが始まります。駆け込み返納による処分逃れは、実質的に封じられました。

過去に警察の立入検査を受けたことがある事業者は、その事実が今後の許可申請や既存許可の維持にどう影響するか、一度確認した方がいいでしょう。

経過措置はなし

今回の改正には経過措置が設けられませんでした。これは実務上、大きな意味を持ちます。

2025年11月28日より前に申請していた場合でも、同日までに許可処分が出ていない申請には新法が適用されました。風俗営業の許可申請は標準処理期間が55日とされていますが、土日祝日を除いて計算するため、実際には70日以上かかるケースも珍しくありません。2025年9月中旬以降に申請していた場合、処分が11月28日をまたぐ可能性があり、申請時点では旧法の基準を満たしていても処分時点で新法の基準に引っかかれば不許可となりました。

まとめ

今回の改正で根本的に変わったのは、「法人格が違えば別の話」という前提が崩れたことです。

グループとして実態がある以上、関連会社の1社が処分を受ければその影響がグループ全体に波及する。この構造を正確に理解したうえで、自社の経営体制と許可の状況を改めて確認しておく必要があります。複数法人での店舗展開、過去の立入検査や行政指導の経歴がある方は、特に早めの確認をお勧めします。

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【免責事項】 本記事の情報は2025年12月時点のものです。法令や運用は変更される可能性がありますので、実際の手続きの際は必ず管轄の警察署または行政書士にご確認ください。本記事の内容に基づいて生じた損害について、当事務所は一切の責任を負いかねます。

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