映像送信型性風俗特殊営業とは?「アダルト配信で開業」を考える前に知っておくべきこと
近年、myfansやFantia、FC2といったプラットフォームを利用し、アダルト系のライブ配信や映像配信で収益を得る個人事業主や法人が増えています。スマートフォン一つで始められることから、副業として検討される方も少なくありません。
しかし、日本国内でアダルト系のライブチャットや有料映像配信サービスを運営する場合、「映像送信型性風俗特殊営業」として、警察への届出が必要となるケースがあることは、あまり知られていないません。
「プラットフォームを使っているから大丈夫」「個人でやる分には関係ないのでは?」こうした認識のまま営業を開始し、後から問題になるケースも実際に見受けられます。
本記事では、映像送信型性風俗特殊営業の基本的な仕組みから、届出が必要となるケース・不要となるケースの考え方、具体的な届出方法や無届営業のリスク、実務上の注意点まで、行政書士が分かりやすく解説します。
「映像送信型性風俗特殊営業」って何?
簡単に言うと、インターネットを使って、性的な映像を有償で配信する営業のことです。風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)という法律で定められた営業形態の一つで、この営業を行う場合、警察署への届出が義務付けられています。
「え、自分がやってるのって『営業』なの?」 「届出って、お店とか会社がするものじゃないの?」そう思うのも無理はありませんが、法律上は個人でプラットフォームを利用して配信している場合も「営業」になり得ます。
そして、無届で営業した場合、6か月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科されます。
昨今話題の理由は?プラットフォームの方針変更
2024年7月、myfansは運営方針を変更し、各クリエイターに対して「映像送信型性風俗特殊営業」の届出を求めるようになりました。また、Fantiaも同様に、「原則、配信内容において専らアダルト配信を伴う場合には、映像送信型性風俗特殊営業の届出が必要」とホームページに明記しています。
つまり、近年プラットフォーム側が「配信者個人も届出が必要かもしれませんよ」というスタンスに変わってきたのです。これを受けて、「自分にも届出が必要なの?」「そもそも映像送信型性風俗特殊営業って何?」という疑問を持つ人が急増しました。
映像送信型性風俗特殊営業に該当するか
映像送信型性風俗特殊営業の定義は以下のとおりです。
「専ら、性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業で、電気通信設備を用いてその客に当該映像を伝達すること(放送又は有線放送に該当するものを除く。)により営むもの」
風営法第2条第8項
法律の文章は分かりにくいので、要素を分解してみましょう。
- 「専ら」性的な映像を扱っている
- 配信内容の大部分が性的なもの
- 性行為、自慰行為、裸体などの映像
- 「電気通信設備」を使っている
- 要するにインターネット
- プラットフォームの種類は問わない
- 「営業」として行っている
- 継続的に収益を得る目的で行っている
- 金額の大小は関係ない
- 「客」に対して映像を提供している
- 有料で見せている
- 月額課金、単品販売、投げ銭など形式は問わない
この4つ全てに当てはまると、基本的に映像送信型性風俗特殊営業に該当します。
よくある疑問にお答え
①プラットフォームを使っているだけだから、自分は関係ない
A.いいえ、関係あります。
「myfansやFantiaが運営しているサービスなんだから、法律的な手続きもプラットフォームがやっているはず」そう考えたくなりますよね。
でも、実務上はそうではありません。
プラットフォームは「場」を提供しているだけ、という整理がされることがあります。楽天市場に出店している店舗は、楽天ではなく各店舗が営業主体です。それと同じように考えられる可能性があるのです。
実際、風営法の解釈運用基準(警察庁が出している運用の指針)では、「実質的に映像送信型性風俗特殊営業を営んでいると認められる者」が届出義務を負う、とされています。つまり、形式ではなく実質で判断されます。
②まだ月数万円しか稼いでないから『営業』じゃないはず
A.金額は関係ありません。
風営法でいう「営業」に、売上金額の下限はありません。月1万円でも、継続的に収益を得る目的で配信していれば「営業」に該当します。
「まだ儲かってないから大丈夫」 「副業レベルだから問題ない」こういう判断は危険です。実際の相談でも、「正直、この程度で届出が必要だとは思わなかった」という声は非常に多いのですが、金額の大小ではなく、「継続的に収益を得る意図があるか」が判断基準になります。
③海外のプラットフォームだから日本の法律は関係ない
A.いいえ、関係あります。
OnlyFansやStripchatなど、海外運営のプラットフォームを使っていても、日本の法律が適用されます。風営法の解釈運用基準では、「届出の対象となるのは、我が国において営業を営んでいる者であり、客に見せる映像が蔵置されているサーバーの所在地を問わない」と明記されています。
配信者自身が日本にいて、日本から配信している時点で、日本の法律が適用されます。サーバーがどこにあるか、プラットフォームがどこの国の会社かは、関係ありません。
では、誰が「営業を営んでいる者」なのか
法律は「営業を営もうとする者」に届出義務があると定めています。では、プラットフォームを使っている場合、誰が「営業を営んでいる者」なのでしょうか。
基本的に、「この営業を営もうとする者」は大きく2つに分けることができます。
プラットフォーム全体の仕組みを作り、配信者を集めて運営している場合、運営会社が「営業を営んでいる者」と判断される可能性があります。この場合、配信者は「出演者」「登録者」として扱われ、個別の届出は不要とされる可能性があります。
配信者が個人でアカウントを開設し、自分で価格設定や配信内容を決め、プラットフォームから直接報酬を受け取っている場合、配信者個人が「営業を営んでいる者」と判断される可能性があります。この場合、配信者個人に届出義務が生じます。
実際には、この中間のケースが非常に多いです。形式的には「プラットフォームのサービスを利用しているだけ」だが、実質的には「個人で営業している」と見られる可能性があるケースです。
「実質的に営業している」の判断基準
警察署での事前相談や届出の際、以下のような点が確認されます。
- 報酬の受け取り方
プラットフォームから直接、あなたの口座に振り込まれているか。それとも、事務所や会社を経由しているか。 - 価格設定の裁量
配信の価格やプラン設定を自分で決めているか。それとも、プラットフォームや事務所が一律で決めているか。 - 配信内容の決定権
何を、いつ、どのように配信するかを自分で決めているか。それとも、指示や管理を受けているか。
これら全てに該当するかどうかが決め手ではありませんが、「自分で決めて、自分で稼ぐ」という実質性が強いほど、個人が「営業を営んでいる者」と判断される可能性が高まります。
無届営業のリスク
届出をせずに営業を続けることは、想像以上に大きなリスクを抱えることになります。まず法的な側面から見ると、無届営業は風営法違反として、6か月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、又はこれを併科という重い刑事罰の対象となります。「知らなかった」という理由は、法律の世界では通用しません。
また、法律上の罰則だけでなく、実務上のリスクも深刻です。無届営業が発覚するきっかけは様々ですが、最も多いのはプラットフォームとの契約トラブルや視聴者との金銭トラブルから警察に相談が入り、その過程で無届営業が明らかになるケースです。また、配信で得た収益について税務調査が入った際、事業実態が明らかになり、そこから警察に情報提供されることもあります。
コロナ禍以降、アダルト配信業界への参入者が急増し、それに伴って摘発事例も増えています。「自分は小規模だから大丈夫」「今まで問題なかったから」という楽観的な判断は危険です。届出さえしっかり行っておけば、こうしたリスクは全て避けられますので、不安であればまずは行政書士に相談しましょう。
すでに配信を始めている方へ
「届出の存在を知らずに配信を始めてしまった」という相談は、実は非常に多く寄せられます。法律では「営業開始の10日前まで」に届出をすることが定められていますが、既に営業を開始してしまっている場合でも、速やかに届出を行うことで、深刻な問題に発展することは少ないのが実情です。
警察署でも、届出の存在を知らなかった配信者が、その事実を知った後に誠実に対応する姿勢を評価してくれます。重要なのは、問題を放置せず、できるだけ早く適正な状態に戻すことです。無届営業の期間が長引くほど、リスクは高まります。気づいた時点で、すぐに行動を起こすことをお勧めします。
これから始める方へ
これから配信を始めようと考えている方は、まず事務所として使える物件で使用承諾書を取得できるか、そして自分が届出義務者に該当するかを確認しておくことを強くお勧めします。「まだ稼げるかどうか分からないのに、そこまでする必要があるの?」と思われるかもしれません。
しかし、配信を始めてから「実は届出が必要でした」と判明した場合、事務所探しから書類準備まで、余計な時間と費用がかかってしまいます。それだけでなく、無届営業の期間が発生することで、精神的な負担も大きくなります。最初の段階できちんと整理しておけば、安心して配信活動に集中できます。スタート時点で正しい準備をしておくことが、結果的に最も効率的で安全な方法です。
行政書士ができること
行政書士は、映像送信型性風俗特殊営業の届出に関する専門家として、様々な場面でサポートを提供できます。まず、具体的な活動内容を詳しくお聞きした上で、届出が必要かどうかを判断するための材料を提供します。プラットフォームの利用形態、報酬の受け取り方、配信内容の決定権など、複数の要素を総合的に検討し、適切なアドバイスを行います。
届出が必要と判断された場合は、必要な書類の作成から警察署への提出まで、全ての手続きを代行できます。特に、警察署での事前相談や届出時の説明は専門的な知識が必要となるため、行政書士が同行することで、スムーズに手続きを進めることができます。
まとめ|「知らなかった」では済まされない
映像送信型性風俗特殊営業という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、インターネットでアダルト配信を行い収益を得る以上、この規制から逃れることはできません。
まず理解しておくべきなのは、インターネットで性的な映像を有償で配信する行為は、金額の大小に関わらず、この営業に該当する可能性があるということです。プラットフォームを利用しているからといって、個人に届出義務が生じないわけではありません。実際、myfansやFantiaといった主要プラットフォームも、配信者個人に届出を求める方向に方針を変更しています。
また、海外のプラットフォームを使用しているから日本の法律は関係ないという考えも誤りです。配信者自身が日本にいて日本から配信している以上、サーバーの所在地やプラットフォーム運営会社の国籍に関わらず、日本の風営法が適用されます。
なお、届出手続きで最も大きなハードルとなるのが、事務所として使用できる物件の確保と使用承諾書の取得です。一般的な賃貸物件では「住居用」契約となっているため、大家や管理会社から映像送信型性風俗特殊営業での使用承諾を得ることは難しいのが実情です。そのため、風営法対応のレンタルオフィスを借りるなど、事前の準備が不可欠です。
届出が必要かどうかの最終的な判断は、契約形態、報酬の受け取り方、実際の運営実態など、複数の要素を総合的に見て行われます。「知らなかった」「小規模だから大丈夫だと思った」という言い訳は、法律の世界では通用しませんので、活動を始める前、あるいは今すぐにでも、専門家に相談して適切な対応を取ることを強くお勧めします。
無料相談のご案内
当事務所では、仙台市・宮城県全域を中心に映像送信型性風俗特殊営業の届出に関する初回相談を無料で承っております。
自分が届出義務者に当たるか分からない、届出の代行を依頼したいといったお悩みがある方は、まずはお気軽にご相談ください。
【免責事項】 本記事の情報は2025年12月時点のものです。法令や運用は変更される可能性がありますので、実際の手続きの際は必ず管轄の警察署または専門家にご確認ください。本記事の内容に基づいて生じた損害について、当事務所は一切の責任を負いかねます。