深夜酒類の届出|図面でつまずく3つの落とし穴
深夜酒類提供飲食店営業の届出は、お酒の提供をメインとした飲食店が深夜0時以降も営業するために必要な届出です。当事務所でも、国分町のバーをはじめ数多くの店舗を担当させていただいています。
書類の一覧を渡されると「これくらいなら自分でできそう」と感じる方が多いのも事実です。実際、一度自分でやってみようとしたけれどやっぱりお願いしたいと、途中でご連絡をいただくケースが珍しくありません。
その理由は、ほぼ例外なく「図面」です。
「内装屋や不動産からもらった図面を添付すればいいんでしょ?」と思うかもしれませんが、それだけでは全く足りません。それで通るなら行政書士の仕事として成立しません。
なぜ図面が一番の難関なのか
深夜酒類提供飲食店営業の届出は、風俗営業の許可申請と異なり、警察署による事前の実地調査がありません。つまり、担当者が実際に店舗を見に来ることなく、提出された書類だけで内容を判断します。
つまり、書類に間違いや虚偽があってはならないわけですね。受理の際に実地踏査がないだけで、営業開始後に警察官が立入検査にくる可能性は大いにあります。
よって、届出時の書類と実際が異なっていたらどうでしょう。警察官から心証はものすごく悪いですよね。一度目を付けられると、かなり頻繁に警察の方が顔を出しに来てくれます。もちろん悪い意味で。
というわけで、営業所の広さ、客室の構造、設備の配置、出入口の位置などこれらすべてを、紙の上で「確認可能な状態」にして提出することが求められます。そのためにあるのが図面です。
図面が曖昧であれば、担当者は確認ができません。確認ができなければ、補正(修正・再提出)を求められます。補正が繰り返されれば、その分だけ開業が遅れます。家賃は先行し、スタッフの採用スケジュールも狂い、予定していたオープン日は過ぎていきますよね。これが、図面でつまずいた事業者が実際に直面する現実です。
たいてい、このあたりで、急ぎでお願い!とご連絡をいただきます。
「図面」は平面図だけじゃない
この届出で求められる「図面」とは、間取りを示す平面図のことだけではありません。そういった図面以外にも、照明や音響設備の情報を書面として提示しなければならないのです。これを知らずに平面図だけ持参し、窓口で「他の資料は?」と言われて初めて気づく方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
具体的には、照明設備については各照明器具の種類・位置・照度の情報が求められます。深夜に酒類を提供する営業所では、店内の明るさが一定水準を保っていることを確認する必要があるためです。器具の配置を平面図上に落とし、それぞれの照度数値と合わせて提示できる状態にしておく必要があります。
音響設備についても同様です。スピーカーの位置・種類・出力などの情報を図面上に示し、場合によっては防音の状況についての説明資料も求められます。深夜営業に伴う騒音問題は、近隣とのトラブルや行政指導につながりやすいテーマであり、この点を丁寧に確認されます。
届出に必要な「図面類」は次のようなものが通常要求されます。
- 営業所の平面図(縮尺・寸法・設備配置を含む)
- 求積図(面積の算定根拠を示す資料)
- 照明設備の配置・照度に関する資料
- 音響設備の配置・仕様に関する資料
- 個室がある場合は客室別の構造・面積資料
これだけの資料が、互いに矛盾なく整合していることが前提です。平面図の間取りと、照明・音響の配置が食い違っていれば当然補正になります。それぞれの資料が独立して正しくても、全体として一つの店舗の状態を説明できていなければ意味がありません。
以下では、申請者がつまずきやすい3つの落とし穴を、見ていきましょう。
落とし穴① 縮尺と寸法の根拠が弱い
手書きやExcel・Wordで「だいたいこんな間取り」という感覚で図面を作成し、窓口に持参したところ、「縮尺が明示されていない」「寸法の根拠が不明」と指摘され、作り直しになる。
図面は見た目のイメージ図ではなく、審査の根拠資料として扱われます。担当者は図面を見ながら、「この客室は何平方メートルか」「この通路は通行に支障がないか」「出入口はどこにあるか」を確認します。そのためには、縮尺・寸法・各設備の位置関係が整合した状態で記載されていることが前提です。
縮尺が明示されていない図面は、「どのくらいの広さか」を読み取る基準がない状態です。印刷時に拡大縮小されていれば、記載されている縮尺と実際の印刷サイズが一致しなくなります。
特に、Excelで作成した図面にこの問題が起きやすく、「Excelだから不可」ということではありませんが、縮尺を安定して維持するのが難しいツールであることは事実です。
また、寸法の取り方が図面によって統一されていないことも補正の原因になります。平面図ではA地点からB地点まで3,200mmと記載されているのに、求積図では別の数値が使われているなど、こういった不整合があると、どちらが正しいのかを確認するための追加対応が発生します。
「縮尺が印刷後も維持される」「寸法の測り方が全資料で統一されている」「主要な壁・扉・間仕切り・設備の位置関係が明確に読み取れる」この3点が、最低限のラインです。CADソフトを使うと縮尺管理が安定しやすいのはそのためです。
弊所では、お客様の信頼性の確保のため、必ずレーザー距離計を用いて、その上でCADで作成します。
落とし穴② 求積(面積計算)の根拠が説明できない
店舗の縦と横を巻き尺で測り、掛け算した数字を記載したところ、「算定の根拠として不十分」と言われた。あるいは、自分では9.6㎡のつもりが、正確に算定すると9.4㎡になり、説明を求められた。
面積の算定は「長さ×幅」の単純計算ではありません。何を基準に測ったかによって、結果が変わります。
代表的な違いが「壁芯(かべしん)」と「内法(うちのり)」です。壁芯は壁の中心線を基準に測る方法、内法は壁の内側の仕上げ面を基準に測る方法です。壁の厚みが15cmあれば、壁芯で測った場合と内法で測った場合では、その厚み分だけ数値が変わります。
深夜酒類提供飲食店営業の届出における求積は、内法で算出することが求められています。壁芯で計算していた場合、数値が大きく出てしまい、実際の状況と乖離が生じます。
さらに、店舗の形状が単純な長方形でない場合、たとえばL字型、コの字型、柱の出っ張りがある、斜め壁があるなど、こうしたケースでは、一つの計算式では対応できません。区画を複数の図形に分割し、それぞれの面積を算出して合算する「区分求積」の手法が必要になります。このとき、どの部分をどう分割したかを、誰が見ても追える形で記録しておくことが求められます。
求積は「面積の数値」だけでなく、「どこを、何を基準に、どう計算したか」がセットで示せる状態にしておく必要があります。平面図に求積の区画分割を重ねて示す形式が一般的で、これによって数値の根拠を視覚的に確認できるようにします。
落とし穴③ 設備・区画の情報が図面から読み取れない
間取りは描いたが、「設備や区画の情報が不足している」「現地の状況が確認できない」と言われ、図面の追記または差し替えを求められた。
深夜酒類提供飲食店営業の届出は、「その店舗が、深夜に酒類を提供する営業として適正に営まれる状態にあるか」を確認するためのものです。そのため、建物の輪郭だけでなく、営業所内の状況が具体的に読み取れる情報が必要になります。
カウンター・テーブル・椅子の配置、厨房の位置、レジの場所、出入口と内部の動線、照明設備、音響設備などこれらが図面から読み取れないと、担当者は「実際にどういう状態で営業するのか」を書類上で確認できません。
また、個室や半個室がある店舗では、その区画の扱いが審査上の論点になることがあります。区画の面積・構造・出入口の状況・他の客室との位置関係など、より詳細な情報が求められる場合があり、一般的な間取り図では情報量が足りないと判断されることがあります。
「間取りが分かる図面」と「届出に対応した図面」は別物です。
後者は、担当者が確認すべき事項を、書類の範囲内で確認できる情報量を持っていることが前提になります。何をどこまで記載するかは管轄によって差がありますが、「現地の状態を書類だけで説明できる」水準を目指すことが基本的な考え方です。
届出に必要な図面類のポイント
1枚の図面が正しくても、資料全体が整合していなければ補正になるので、警察の案内では簡単そうに見えても実際はかなりの手間が発生します。
平面図の寸法と求積図の寸法が一致しているか。照明配置が平面図の間取りと矛盾していないか。音響設備の位置が実際の区画と整合しているか。縮尺・単位・算定前提が全資料で統一されているか。この整合チェックが甘いと、一か所を直したことで別の資料との矛盾が生じ、補正が連鎖します。
複数の資料を、互いに矛盾なく、全体として一つの店舗の状態を説明できる形に整えることが、図面作成の本当の難しさです。
さつき行政書士事務所が図面を自社対応する理由
当事務所では、深夜酒類提供飲食店営業の届出において、図面作成を所内で対応できる体制を整えています。
中には、図面だけ外注に出す先生も存在しますが、外部の図面作業者に依頼する場合、図面の完成待ち・修正依頼の往復・書類との整合確認といったやり取りが発生し、全体のスケジュールに影響が出ることがあります。所内で完結できれば、届出書類の作成と図面作成を並行して進めることができ、修正が必要な場面でも迅速に対応できます。
また、当事務所では建築に関する知見を持つ行政書士がCADを用いて図面を作成します。縮尺の管理・寸法の一貫性・求積の根拠整理といった、補正の原因になりやすい部分を、経験をもとに対処します。
費用面では、図面作成費用を含めた形での見積り提示を原則としており、総額の見通しが立てやすくなっています。
まとめ
図面の話をずっとしてきましたが、結局のところ、これだけの資料を矛盾なく揃えることが、この届出の一番の山場です。平面図を描いて、求積して、照明・音響の情報を落として、全資料の寸法と縮尺を統一して。それを並行してやりながら、同時に他の届出書類も整えていく。開業準備の忙しい時期に、不慣れな作業でこれをやり切るのは、思った以上に時間を取られます。
図面で詰まって補正が続く間も、家賃は発生しています。
当事務所に依頼いただく方の多くは、「最初から頼めばよかった」とおっしゃられます。図面を含めた届出のサポートは、仙台市青葉区を拠点に宮城県全域で対応しております。まずはお気軽にご相談ください。
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これからお店を始める方はもちろん、「今の営業スタイルで届出を見直したい」といった現役のオーナー様からのご相談も大歓迎です。
少しでも気になることがあれば、まずはお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。あなたの理想のお店づくりを、しっかりサポートいたします。
【免責事項】 本記事の情報は2025年12月時点のものです。法令や運用は変更される可能性がありますので、実際の手続きの際は必ず管轄の警察署または行政書士にご確認ください。本記事の内容に基づいて生じた損害について、当事務所は一切の責任を負いかねます。
