風俗営業1号許可(接待飲食等営業)とは?

水商売の開業において、最もリスクが高いのは無許可営業(風俗営業を得ずして接待行為をする)の指摘を受けることです。近年、深夜酒類提供の届出のみで営業していた店舗が、接待行為を理由に相次いで摘発されています

特に2025年の法改正以降、罰則の大幅な強化と欠格事由の拡大により、一度のミスがグループ会社全体の経営を揺るがす致命傷になりかねない時代となりました。

2025年改正以降、罰則の強化に加え、許可の不許可事由(欠格)が拡大され、親会社・兄弟会社などの密接な関係を有する法人にまで影響が波及し得ることになりました。

「接待」の定義は、想像以上に広く、かつ厳格です。本コラムでは、風営法第2条第1項第1号(接待飲食等営業)の基本から、構造設備要件のミリ単位の注意点、さらには改正法による最新の規制状況まで、実務上の急所を凝縮してお届けします。

目次

風俗営業1号許可とは何か

風俗営業1号許可とは、正式には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(以下、風営法)第2条第1項第1号に定められた営業形態を指します。条文上の定義を簡単に言うと、「接待を伴って、客に飲食をさせる営業」です。

風営法では、この業態を「接待飲食等営業」と呼び、都道府県公安委員会の許可制としています。つまり、無許可で営業すれば違法です。近年、深夜酒類提供の届出のみで営業していた店舗が、接待行為を理由に無許可営業として摘発・指導の対象となる例が確認されています。

ここで重要なのは、許可の要否は「お酒を出すかどうか」ではなく、「接待があるかどうか」で決まるという点です。ノンアルコールでも接待があれば該当し、逆にお酒を出していても接待がなければ該当しません。

「接待」とは

法律上の定義

「接待」は、風営法第2条第3項にて「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義されています。

ただし、この文言だけでは実務判断には使えません。警察庁の解釈運用基準が示す考え方を踏まえると、判断軸は次の3点に整理されます。

  1. 特定少数の客に対する行為であること
  2. 飲食に通常付随する範囲を超える積極的なサービスであること
  3. 客観的実態で判断される(店側の意図・認識は関係ない)

つまり「接待しているつもりはない」という主張は通用しません。また「カウンター越しなら安全」という認識も誤りであり、営業実態が上記を満たせば接待と認定されます。

接待に該当する行為の例

  • 特定の客の隣に座り、継続的に話し相手になる
  • カラオケのデュエット、手拍子、盛り上げ行為
  • お酌をする、グラスを持ち上げる
  • 客の肩・手などへのボディタッチ
  • トランプ・ゲームなどを客と一緒に楽しむ

接待に該当しない行為

一方で、注文を取ることや飲み物を運ぶこと(一般的な飲食店の接客)のみを行う場合、当然接待には該当するとは言えません。

つまり、ドリンクを運ぶだけなど、 単なる配膳は接待に当たりません。ただし、その後席に座って話し相手になれば接待であり、行為の連続性で判断されます。

1号・深夜酒類・特定遊興の違い

開業者が最も混乱するのがこの分岐です。「何をしたい店か」によって、必要な許可・届出が変わりますので、経営者様ご自身でも理解をしておくことを推奨します。

営業スタイル必要な許可・届出深夜営業接待遊興
接待あり・深夜不可風営法1号許可原則不可(条例例外あり)
深夜あり・接待なし深夜酒類提供飲食店営業届出
遊興×深夜(クラブ等)特定遊興飲食店営業許可

1号許可と深夜酒類提供飲食店営業届出は、同じ箱では原則として併用できません。 接待か深夜営業か、どちらを選択するか最初に決めておく必要があります。

たとえば「深夜0時以降も営業したい」という場合、接待を行えば1号許可となり深夜営業は原則できなくなります。一方、接待をなくせば深夜酒類の届出で運営できますが、スタッフが席に着いて会話する運用は認められません。この選択を曖昧にしたまま開業準備を進めると、物件や内装の方針が後から全部変わります。

1号許可の主な要件

①場所的要件(用途地域・距離制限)

  • 商業地域・近隣商業地域など、営業が認められる用途地域であること
  • 学校・病院・図書館・児童福祉施設などの保護対象施設から、条例で定められた距離以上離れていること(都道府県によって異なる)

この確認を物件契約後に行うと、「使えない物件を借りてしまった」という事態になります。必ず契約前に確認してください。

②人的要件(欠格事由)

営業者本人(法人の場合は役員全員)が、以下の欠格事由に該当しないことが必要です。なお、下記は代表例であり、法律上はより細かく規制されます。

  • 過去に風営法違反・暴力行為等で刑を受けた
  • 暴力団関係者、またはその支配下にある
  • 未成年者(例外あり)
  • 精神の機能の障害により適正な営業ができない
  • 2025年11月改正により新設:親会社・関連会社が許可取消を受けた場合、行政処分を見越して許可証を返納した場合(詳細は後述)

③構造・設備要件

営業所内の規定の数値は風営法施行規則に定められており、照度・床面積とも1号許可と深夜酒類届出では基準が異なります。

項目1号許可(接待飲食)深夜酒類届出
客室床面積和風客室:9.5㎡以上/その他:16.5㎡以上(1室のみの場合は例外)9.5㎡以上(1室のみの場合は例外)
照度5ルクス未満NG(暗すぎてはいけない)20ルクス未満NG
見通し客室内部が外部から見通せる構造(個室は原則NG)同左
騒音・振動条例の基準以下であること同左

照度については1号許可の基準は5ルクス、深夜酒類の届出は20ルクスです。「接待あり=暗くてよい」と誤解されがちですが、5ルクスを下回ると法律違反になります。調光機能(スライダックス等)がある照明設備は、「5ルクス未満に下げられる状態」自体が問題視されることがあるため、撤去する必要があることが多いです。

物件・内装で失敗しやすい3つの落とし穴

風俗営業1号許可申請の実務で散見される、内装工事の失敗例と共に、注意点をご紹介します。

①客室として使えない面積を客室として使用してしまう

図面上は「控室」「バックヤード」と記載されているスペースを、実際の運用では客席として使うケース。申請図面と実態が乖離していると、現地確認の際に一発でアウトになります。申請書類と実際の使い方は必ず一致させてください。

また、無事に許可が下りた後も用途を守って使用してください。

②見通しを妨げる設備を後から設置する

仕切りやパーテーション、目隠しフィルムなど、客室内部の見通しを妨げる設備は基準違反となる場合があります。許可取得後にそういった仕切りを付けたい場合は、必ず行政書士に事前に聞いてみてください。

高さ1メートルを超える間仕切りの取り扱いには特に注意が必要で、内装工事の前に図面で確認を取ることが不可欠です。

③調光設備の下げられる状態が問題になる

照度基準は実測値だけでなく、下げられる設備があるかどうかも問われます。スライダックスや調光スイッチで5ルクス未満に落とせる状態の設備があると、たとえ通常営業時に基準を満たしていても指摘を受けることがあります。

無許可営業・違反営業のリスク【2025年改正対応】

罰則の大幅強化(2025年6月28日施行)

項目改正前改正後(2025年6月28日〜)
個人の罰則2年以下の懲役または200万円以下の罰金 5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金
法人の罰則200万円以下の罰金 3億円以下の罰金

欠格事由の拡大(2025年11月28日施行)

11月の改正施行により、以下が新たに欠格事由に追加されました。

  • 親会社・兄弟会社が許可取消を受けた場合
    グループ企業の1社が取消処分を受けると、関連会社全体が5年間許可を受けられなくなります
  • 行政処分逃れの防止
    警察の立ち入り調査後に許可証を返納しても、5年間は新規許可を受けられません
  • 暴力団等の支配的影響力がある者
    暴力的不法行為を行うおそれがある者が支配的影響力を有する場合も欠格

従来は「処分前に店を畳めば次の店を開ける」という抜け道がありましたが、2025年改正でこれが封じられました。

許可を取得した後も「事故」が起きるポイント

無許可リスクと同様に見落とされがちなのが、許可取得後の遵守事項・禁止行為の違反です。2025年改正で接待飲食営業における規制が強化されており、以下の行為は許可取得後も違反となります。

遵守事項(やらなければならないこと)

  • 料金の明示・虚偽説明の禁止
  • 恋愛感情につけ込んで不当な金額を要求しないこと
  • 客が注文していないものを提供しないこと

禁止行為

  • 威迫・困惑させて支払わせること
  • 支払いのために売春・性風俗営業への就業・AV出演等を要求すること

「許可を取ったから安心」ではありません。開業後の日常的な運営においても、継続的なコンプライアンス管理が求められます。

まとめ

確認項目ポイント
接待の有無実態で判断される。スタッフの動きを客観的に確認する
1号・深夜酒類・特定遊興の分岐「何をしたい店か」を先に決める
用途地域・距離制限物件契約前に確認。後からでは間に合わない
人的欠格事由役員全員分の確認が必要(2025年改正で対象拡大)
構造・設備要件照度(1号は5ルクス以上)・床面積・見通しを設計段階で確認
調光設備・仕切り「下げられる状態」自体が問題になり得る
許可後の遵守事項開業後も継続的なコンプライアンス管理が必要

風俗営業1号許可の要否は、店の看板や内装の雰囲気ではなく接客の実態で決まります。そして許可の判断を誤ったまま開業準備を進めると、物件・内装・スタッフ採用のすべてが無駄になりかねません。「とりあえず始めてから考えよう」は、この業種では最大のリスクです。

不安がある場合は、物件を決める前の段階で行政書士に相談することをお勧めします。

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