【2025年最新】風営法違反で受ける処分とは?行政処分と刑事罰の違いを徹底解説
キャバクラやスナック、ホストクラブなどの風俗営業を営む方にとって、「風営法違反」は決して他人事ではありません。2025年6月28日に施行された改正風営法では、無許可営業やスカウトバックへの罰則が大幅に強化され、業界全体への監視が厳格化されています。
風営法に違反した場合、「行政処分」と「刑事罰」という2つの処分を受ける可能性があります。しかし、この2つの違いを正確に理解している経営者の方は、意外と少ないのではないでしょうか。
例えば、「営業停止処分を受けた」という場合と「罰金刑を受けた」という場合では、何が違うのでしょうか?また、両方同時に科されることはあるのでしょうか?
本記事では、風営法における行政処分と刑事罰の違いについて、素人の方でも理解できるよう段階的に解説していきます。最新の法令・通達・条例を踏まえた実務的な内容となっていますので、風俗営業に関わる方はぜひ最後までお読みください。
風営法違反における2つの処分
風営法に違反した場合、①「刑事罰」と②「行政処分」という2種類の処分が科される可能性があります。この2つは全く別の制度であり、それぞれ異なる目的と手続きで運用されています。
① 刑事罰とは|警察・検察による犯罪捜査と刑罰
刑事罰は、殺人や窃盗などの犯罪と同様、警察による犯罪捜査を経て科される処分です。違反行為が発覚すると、警察による捜査→書類送検→検察官による起訴→刑事裁判という刑事訴訟法の流れに従って処理されます。
最終的に科される刑罰は、違反行為の重大性により以下のように区分されています。
- 拘禁刑:6か月から5年以下(2025年6月より懲役刑・禁錮刑が統合され「拘禁刑」に)
- 罰金刑:10万円から1,000万円以下(個人)、3億円以下(法人)
- 併科:拘禁刑と罰金刑の両方が科されることもある
2025年改正による罰則強化
2025年6月28日施行の改正風営法では、無許可営業等に対する刑事罰が大幅に強化されました。
| 改正前 | 2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金 |
| 改正後 | 5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金(法人は3億円以下) |
この改正により、悪質な無許可営業に対する取り締まりが一層厳格化されています。実際、改正法施行初日の2025年6月28日には、新宿・歌舞伎町のガールズバーで無許可営業を行っていた経営者が警視庁に逮捕されるという事例が発生しました。
刑事罰を受けると前科がつき、今後の人生に大きな影響を及ぼします。また、法人の場合は最大3億円という巨額の罰金が科される可能性があるため、経営に致命的な打撃を与えかねません。
② 行政処分とは|公安委員会による営業適正化のための処分
一方、行政処分は刑事罰とは全く異なる制度です。行政庁(公安委員会)が、風俗営業を適正に運営させるために行う指導監督の一環として科される処分行為です。
公安委員会が行う行政処分には、軽い順に以下の3種類があります。
- 指示処分:営業の方法等について改善を指示される(最も軽い処分)
- 営業停止命令:一定期間(5日~6か月)、営業ができなくなる
- 許可取消処分:風俗営業許可そのものが取り消される(最も重い処分)
風営法に対する違反行為が発覚した場合、公安委員会は以下の流れで処分を行います。
- 報告徴収・立入検査を実施
- 違反の悪質性を考慮して、行政指導または行政処分を決定
- 処分を通知
通常は行政指導を経てから行政処分に至りますが、悪質性が高い場合には、調査後いきなり行政処分が科されることもあります。
行政処分を受けても前科はつきませんが、営業停止や許可取消となれば事業継続に重大な影響を及ぼします。特に、許可取消処分を受けた場合、その後5年間は新たな風俗営業許可を取得することができなくなります(欠格事由)。
行政処分と刑事罰の違い|3つの視点から比較
それでは、行政処分と刑事罰の違いを、より具体的に3つの視点から見ていきましょう。
1.処分の主体の違い
- 捜査:警察(生活安全課)
- 起訴・不起訴の判断:検察官
- 刑の決定:裁判所(刑事裁判)
- 調査:警察(生活安全課)
- 処分の決定:公安委員会
刑事罰は司法手続き(裁判所が関与)、行政処分は行政手続き(公安委員会が決定)という根本的な違いがあります。
2.処分の目的の違い
- 犯罪に対する社会的制裁
- 違法行為の抑止(一般予防・特別予防)
- 応報(悪いことをした者への罰)
- 営業の適正化
- 善良の風俗と清浄な風俗環境の保持
- 少年の健全な育成への配慮
- 将来の違反行為の防止
刑事罰は「悪いことをしたから罰する」という応報的な性格が強いのに対し、行政処分は「今後適正に営業させる」という将来志向的な性格が強いと言えます。
3.処分の内容の違い
- 拘禁刑(刑務所への収監)
- 罰金刑(国庫への金銭納付)
- 前科がつく
- 指示処分(改善命令)
- 営業停止命令(5日~6か月)
- 許可取消処分
- 前科はつかない
刑事罰は個人の自由や財産に対する制裁であるのに対し、行政処分は営業に関する権利(許可)への制約という違いがあります。また、刑事罰を受けると前科がつきますが、行政処分では前科はつきません。
具体的な違反行為と処分の関係
違反行為によって、刑事罰のみが科される場合、行政処分のみが科される場合、両方が科される場合があります。それぞれのケースを見ていきましょう。
両方の処分を受ける場合|悪質性が高い違反
悪質性が高い違反行為については、刑事罰と行政処分の両方が科されることがあります。以下は代表的な例です。
- 無許可営業
刑事罰(5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金)+行政処分(営業停止・許可取消) - 名義貸し
刑事罰(5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金)+行政処分(許可取消) - 18歳未満の者を接客業務に従事させた
刑事罰(1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)+行政処分(許可取消) - 客引き行為
刑事罰(6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)+行政処分(営業停止) - 営業停止命令違反
刑事罰(5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金)+行政処分(許可取消)
これらの違反は、悪質性が高いと判断されることも少なくなく、刑事罰で罰せられた上に、さらに行政処分として営業停止や許可取消が科される可能性が高い事例です。た
行政処分のみの場合|比較的軽微な違反
比較的軽微な違反行為については、行政処分のみが科され、刑事罰は科されません。2025年改正で新たに追加された「色恋営業」に関する規制も、基本的にこのカテゴリーに入ります。
指示処分の対象となる違反例
- 許可証を見やすい場所に掲示していない
- 従業者名簿を備え付けていない、記載漏れ、虚偽記載
- 料金表を掲示していない
- 変更届出をしていない
営業停止の対象となる違反例
- 色恋営業(2025年改正で新設):客の恋愛感情を利用して高額な飲食を要求する行為
- 料金の虚偽説明:料金について虚偽の説明を行う
- 注文していない飲食物の提供:客が注文していない飲食物を提供する
- 営業時間外の営業
- 指示処分に従わない場合
特に注目すべきは、2025年改正で新たに追加された「色恋営業」の規制です。これは行政処分の対象となりますが、直接的な刑事罰の対象ではありません。ただし、行為の態様によっては、詐欺罪や脅迫罪などの刑法上の犯罪が成立する可能性があります。
行政処分のみで済む違反であっても、繰り返したり、指示処分を無視したりすると、より重い処分(営業停止や許可取消)に発展する可能性があるため、注意が必要です。
刑事罰のみの場合|特定の禁止行為
2025年改正で新たに追加された禁止行為の中には、刑事罰は科されるが、直接的な行政処分の対象とはならないものもあります。
刑事罰の対象となる禁止行為(2025年改正で新設)
- 威迫による売春等の要求
売掛金の支払いのために威迫・誘惑を用いて売春、性風俗店勤務、AV出演等を要求する行為
違反した場合、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、またはその併科が下されます。
この規定は、ホストクラブ等で問題となっていた、売掛金の回収のために客に売春等を強要する行為を取り締まるために新設されたものです。この行為自体は刑事罰の対象となりますが、必ずしも営業停止等の行政処分が科されるわけではありません。
ただし、このような行為が常態化している店舗については、公安委員会の判断により、別途行政処分が科される可能性もあります。
2025年改正による変更点|罰則強化と新たな規制
2025年6月28日に施行された改正風営法では、行政処分と刑事罰の両面で大幅な強化が行われました。主な変更点を整理します。
(1)刑事罰の大幅な強化
無許可営業等
個人は5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金(改正前:2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金)、法人は3億円以下の罰金(改正前:200万円以下の罰金)
(2)接待飲食営業に関する新たな遵守事項・禁止行為
以下の行為が新たに禁止され、行政処分の対象となりました。
- 料金に関する虚偽の説明
- 客の恋愛感情等に乗じて困惑させ、遊興・飲食をさせる行為(色恋営業)
- 客が注文していない飲食物を提供する行為
また、以下の行為は刑事罰(6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)の対象となりました。
- 威迫により注文や支払いを強要する行為
- 売掛金の支払いのために威迫・誘惑を用いて売春、性風俗店勤務、AV出演等を要求する行為
(3)スカウトバックの全面禁止
性風俗店が求職者の紹介を受けた場合に、紹介者に対して紹介料を支払う「スカウトバック」が全面的に禁止されました。違反した場合、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科されます。
(4)欠格事由の拡大
以下のケースが新たに欠格事由に追加されました(2025年11月28日施行)。
- 過去5年以内に親法人・兄弟法人・子法人が風俗営業の許可を取り消された法人
- 過去5年以内に警察による立入調査後に許可証を返納した者(行政処分逃れ対策)
- 暴力的不法行為等を行うおそれがある者がその事業活動に支配的な影響力を有する者
(5)広告・宣伝に関する新たな基準(通達)
2025年6月4日付で警察庁から発出された通達「接待飲食営業における広告及び宣伝の取扱いについて」では、以下のような広告表現が禁止されました。
- 売上や指名数など、営業成績を直接的に誇示する表現(例:「年間売上〇億円突破」「指名No.1」)
- 営業成績や地位を推認させる役職名・称号(例:「総支配人」「幹部補佐」「レジェンド」「神」)
まとめ|風営法違反を防ぐために
今回は、風営法における行政処分と刑事罰の違いについて解説してきました。
行政処分と刑事罰は、どちらも風営法違反に対する処分ですが、その性質は大きく異なります。刑事罰は裁判所が科す刑罰であり、犯罪に対する応報と抑止を目的としています。拘禁刑や罰金刑が科され、前科がつくという重大な結果をもたらします。
一方、行政処分は公安委員会が科す行政上の処分であり、営業の適正化を目的としています。指示処分、営業停止命令、許可取消処分という段階的な処分があり、前科はつきませんが、事業継続に直接的な影響を与えます。悪質な違反行為の場合は、両方の処分が同時に科されることもあります。
2025年6月28日に施行された改正風営法では、罰則の大幅な強化と新たな規制の導入が行われました。特に注目すべきは、無許可営業等に対する刑事罰の強化です。個人に対しては最大で拘禁刑5年または罰金1,000万円、法人に対しては最大で罰金3億円という、これまでとは比較にならない重い罰則が設けられました。
また、これまで問題視されていた「色恋営業」や「料金の虚偽説明」が明確に行政処分の対象となり、売掛金の支払いのために売春等を要求する行為には刑事罰が科されることになりました。さらに、性風俗店におけるスカウトバックが全面禁止され、行政処分逃れを防ぐために欠格事由も大幅に拡大されています。
「長年営業しているから大丈夫」「これくらいなら問題ないだろう」という油断が、取り返しのつかない事態を招くこともあります。2025年改正により、風営法の運用は確実に厳格化しています。行政処分や刑事罰を受けてからでは遅いのです。日頃から法令を遵守し、不明点があれば専門家(行政書士や弁護士)に相談することをお勧めします。
適法な営業を続けることが、長期的には最も確実な経営戦略となります。本記事が、皆さまの事業継続の一助となれば幸いです。
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【免責事項】 本記事の情報は2025年12月時点のものです。法令や運用は変更される可能性がありますので、実際の手続きの際は必ず管轄の警察署または専門家にご確認ください。本記事の内容に基づいて生じた損害について、当事務所は一切の責任を負いかねます。