アダルト配信の海外プラットフォーム利用時の注意点|映像送信型性風俗特殊営業
アダルト配信で収益を得る行為は、内容や方法によっては、風営法上の「映像送信型性風俗特殊営業」に該当し、事前の届出が必要になります。
ところが、配信に利用しているサービスがOnlyFansやStripchatなどの海外プラットフォームである場合、「海外のサービスだから届出は不要ではないか」という理解が広く見られます。こういった海外のプラットフォームを利用する場合、日本の風営法がどこまで適用されるのかについて、誤解が生じやすい状況が続いています。
本コラムでは、アダルト配信は原則として届出が必要であるという前提を踏まえたうえで、海外プラットフォームを利用した場合に、風営法上どのように評価されるのかを解説します。
まず知っておくべき基本ルール
配信者がどこで営業しているかが判断基準になる
海外プラットフォームを利用したアダルト配信であっても、配信者自身が日本国内に拠点を置き、日本から配信している場合には、日本の法律が適用されます。
この点において、プラットフォームのサーバー所在地や、運営会社の国籍は判断基準にはなりません。
風営法の解釈運用基準でも、届出の対象について次のように示されています。
「届出の対象となるのは、我が国において営業を営んでいる者であり、客に見せる映像が蔵置されている自動公衆送信装置の所在地を問わない」
つまり、映像データが海外のサーバーに保存されているかどうかではなく、誰が・どこで営業行為を行っているのかが重視されます。日本に居住し、日本から配信を行い、その対価として報酬を得ている以上、「日本において営業を営んでいる」と評価されることになります。
OnlyFansのサーバーがアメリカにあり、Stripchatの運営会社がヨーロッパに所在していたとしても、この結論は変わりません。
どのような配信が届出の対象になるのか
海外プラットフォームを利用していても、配信内容がアダルト性を有し、視聴者から金銭的対価を得ている場合には、映像送信型性風俗特殊営業としての届出が必要になります。
具体的には、月額課金による有料コンテンツの提供、ライブ配信中の投げ銭機能による収益化、複数プラットフォームを横断した継続的な配信活動などが該当します。
収益額の多寡は判断要素ではなく、「営業として行われているかどうか」が基準になります。
そのため、「まだ収益が少額だから問題ない」「副業レベルだから大丈夫」といった認識は、実務上は通用しません。
よくある誤解
誤解①「プラットフォーム側が届出しているから、配信者は不要」
海外の大手プラットフォームを利用していると、「OnlyFansやStripchatのようなサービスであれば、運営会社がすでに必要な届出をしているのではないか」と考えられがちです。
しかし、この理解は風営法の仕組みとは合致していません。
風営法上、届出義務を負うのは「映像送信型性風俗特殊営業を営む者」です。
プラットフォーム運営会社と、実際に映像を配信し、視聴者から対価を受け取っている配信者個人とは、法的に全く別の立場にあります。
分かりやすく言えば、楽天市場やAmazonのマーケットプレイスと同様です。
ECモールという「場」が存在していても、そこに出店する事業者が個別に必要な営業許可や届出を行うのと同じで、プラットフォームの存在が配信者の届出義務を肩代わりすることはありません。
実際、Stripchatをはじめとする多くの海外プラットフォームは、本社が国外に所在しており、日本の風営法に基づく届出を行っていません。
そもそもプラットフォーム側は、映像を配信する主体ではなく、あくまで配信環境を提供するインフラ事業者と位置づけられています。
誤解②「英語の海外サイトなら、日本の警察には把握されない」
もう一つ多い誤解が、「サイトが英語表記で、日本向けサービスではないから、日本の警察には把握されないのではないか」という考え方です。
しかし、この認識も現在の実務とは乖離しています。
2024年以降、海外プラットフォームを利用してアダルト配信を行っていた日本人配信者や、その管理に関与していた関係者が、風営法違反で摘発される事例が実際に発生しています。
配信言語やサイト表記が英語であることは、判断を左右する要素にはなっていません。
無届で映像送信型性風俗特殊営業を行った場合、風営法違反として、6か月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、又はこれを併科という刑事罰の対象となります。
「海外サイトだから」「知らなかった」という事情は、違反の成立を否定する理由にはなりません。
海外プラットフォーム利用時に特有の注意点
海外プラットフォームを利用したアダルト配信では、届出が必要になる点自体は国内サービスと変わりません。
ただし、届出書類の作成実務においては、海外サービス特有の注意点がいくつか存在します。
届出書類に記載が求められるプラットフォーム情報
海外プラットフォームを利用する場合、国内プラットフォームとは異なり、運営会社が日本法人を持たないケースがほとんどです。
そのため、届出書類には次のような情報を正確に記載する必要があります。
- プラットフォーム運営会社の正式名称(英語表記)
- 本社所在地(海外の住所)
- 自動公衆送信装置(サーバー)の所在地
例えば、OnlyFansの場合、運営会社は
Fenix International Limited
であり、本社所在地はイギリスにあります。
これらの情報は、省略や通称ではなく、公式表記を用いて記載することが求められます。
これらの情報は、各プラットフォームの利用規約や「About」「Company Information」等のページで確認できますが、英語表記であるため、内容を正確に読み取れず、記載ミスにつながるケースも少なくありません。
複数の海外プラットフォームを利用している場合の取扱い
海外プラットフォームを併用している場合、届出の考え方にも注意が必要です。
風営法の運用上、届出は「プラットフォーム単位」ではなく、「配信を行うURL単位」で求められます。
そのため、複数の海外プラットフォームで活動している場合、それぞれについて個別に届出を行う必要があります。
例えば、以下のようなケースです。
- OnlyFansで有料コンテンツを配信している → 届出が必要
- Stripchatでライブ配信を行っている → 別途届出が必要
- Fanslyでもサブスクリプションを設定している → さらに別途届出が必要
配信内容が同一であっても、利用するプラットフォームやアカウントURLが異なれば、届出は分けて行うという運用になります。
言語の壁が生む実務上のハードル
海外プラットフォームを利用する際、実務上の障壁になりやすいのが言語の問題です。
OnlyFansやStripchatなどの利用規約は英語で作成されており、日本の風営法に基づく届出についての案内は一切ありません。
プラットフォーム側は日本法の運用を前提としていないため、配信者自身が日本の法規制を理解し、自主的に対応する必要があります。
また、届出に必要な情報についてプラットフォーム側に確認を行う場合、英語での問い合わせややり取りが必要になることもあり、ここで手続きが滞るケースも見受けられます。
実務上の対応方針
これから配信を始める場合
海外プラットフォームでの配信を検討している場合は、次の順序で準備を進めることが重要です。
- 映像送信型性風俗特殊営業に該当するかを確認
- 事務所として使用可能な物件を確保(使用承諾の取得が重要)
- 届出書類の作成(プラットフォーム運営会社情報を含む)
- 営業開始予定日の10日前までに警察署へ届出
- 届出受理後に配信を開始
この流れを守ることで、法的リスクを抑えた形で配信活動を開始できます。
既に配信を開始している場合
既に海外プラットフォームで配信を行っており、届出が未了の場合でも、速やかに届出を行うことで大きな問題に発展しないケースが多いのが実情です。
重要なのは、無届の状態を放置せず、できるだけ早く是正することです。
専門家への相談を検討すべきケース
次のような状況に該当する場合は、風営法に精通した行政書士への相談を検討することが望ましいでしょう。
- 複数の海外プラットフォームで配信を行っている
- プラットフォーム運営会社の正式情報が把握できない
- 英語の利用規約や会社情報の読み取りに不安がある
- 既に無届で配信を開始してしまっている
- 手続きに割ける時間が限られている
海外プラットフォーム特有の事情を踏まえて対応することで、届出手続きをよりスムーズに進めることが可能になります。専門家のサポートを受けることで、手続きをスムーズに進めることができます。
まとめ|海外プラットフォームであっても日本の法規制は及ぶ
本記事で確認してきたとおり、アダルト配信における届出の要否は、プラットフォームの所在地ではなく、配信を行っている場所を基準に判断されます。
配信者が日本国内に所在し、日本から映像を配信して収益を得ている場合、利用しているサービスが海外のものであっても、日本の風営法が適用されます。
例えば、OnlyFans、Stripchat、Fanslyなど、いずれの海外プラットフォームであっても例外ではありません。「海外サイトだから問題にならない」という認識のまま配信を続けることは、無届営業として刑事罰の対象となるリスクを伴います。
一方で、配信を開始する前に適切な届出を行えば、法的な不安を抱えることなく活動を続けることが可能です。
すでに配信を開始している場合であっても、状況を放置せず、速やかに届出を行うことでリスクを抑えられるケースが多く見られます。
重要なのは、「海外だから特別」ではなく、日本国内で行っている事業として、どのような手続が求められるかを正しく理解することです。
無料相談のご案内
当事務所では、映像送信型性風俗特殊営業に関する届出手続をはじめ、事務所物件の選定に関する助言、使用承諾書取得のサポート、契約関係の整理、運営上の法令遵守に関する実務的なアドバイスまで、一連の流れを見据えた支援を行っています。
初回のご相談は無料で承っており、内容やご相談の事実が外部に漏れることはありません。配信開始前の確認はもちろん、すでに活動を始めている場合の整理相談にも対応しています。
不安や疑問を抱えたまま事業を続けるのではなく、早い段階で状況を整理することが、結果的にリスクを最小限に抑える近道になります。適法で安心できる形で配信事業を継続するために、まずはお気軽にご相談ください。
【免責事項】 本記事の情報は2026年1月時点のものです。法令や運用は変更される可能性がありますので、実際の手続きの際は必ず管轄の警察署または専門家にご確認ください。本記事の内容に基づいて生じた損害について、当事務所は一切の責任を負いかねます。