風俗営業の許可申請において、欠格事由のある者や表に出たくない実質的経営者が、形式上別人の名義で許可を取得させ、実際には自ら営業を行う、いわゆる「名義貸し」が行われることがあります。
名義貸しは風営法第11条で明確に禁止されている違法行為であり、2025年(令和7年)6月28日施行の改正により罰則も大幅に引き上げられました。本コラムでは、名義貸しが違法とされる理由と改正後の罰則、そして関連する注意点を解説します。
名義貸しとは何か
許可を受けた者は、自己の名義をもって、他人に風俗営業を営ませてはならない
風営法第11条
つまり、許可名義人が形式的な存在にすぎず、裏に別の経営者がいて実質的に営業を支配しているような場合が「名義貸し」にあたります。
風営法は「営業者」に対して監督や処分を行う仕組みであるため、許可名義と実際の営業主体がずれていると、警察の指導監督が機能しなくなります。これが名義貸しを厳しく禁じる理由です。
名義を貸した側は名義貸し違反の対象となり、実質的経営者側も無許可営業や共犯等の問題を生じ得ます。
【2025年改正】罰則の大幅な引き上げ
2025年6月28日施行の改正風営法により、名義貸し・無許可営業に対する罰則が次のとおり強化されました。
個人に対する罰則
| 改正前 | 改正後 | |
|---|---|---|
| 拘禁刑(旧・懲役刑) | 2年以下 | 5年以下 |
| 罰金 | 200万円以下 | 1,000万円以下 |
法人に対する罰則(両罰規定)
| 改正前 | 改正後 | |
|---|---|---|
| 罰金 | 200万円以下 | 3億円以下 |
従来は売上規模に対して罰金額が低すぎるとの指摘がありましたが、今回の改正で大幅な抑止力の強化が図られています。
警察が見るのは書類上の名義ではなく営業の実態
名義貸しが疑われる場合、警察は書類上の名義だけでなく、資金管理の状況、従業員への指示系統、店舗運営の実態などから、誰が実質的に営業を支配しているかを捜査します。
名義人に不自然な資金力がある場合や、名義人が店舗の状況を把握していない場合など、書類と実態の矛盾があれば、形式的な名義にすぎないことは比較的容易に判明します。
名義貸しの動機の多くは、実質的経営者に前科や過去の許可取消歴といった欠格事由があることです。このように欠格事由のある者が裏で経営していることが判明した場合、悪質性が高いものとして厳しい対応が取られます。
欠格事由の拡大(2025年11月28日施行)
2025年11月28日からは、風俗営業許可の欠格事由(不許可事由)も拡大されています。
- 一定の資本関係等にある法人への波及
親会社等が風営法違反により許可を取り消された場合、一定の資本関係等にある法人も欠格事由に該当し得るようになりました。別法人を使った出店で処分の影響を回避する手法が通用しにくくなっています。 - 処分逃れの防止
警察の立入調査後、取消処分が確定する前に許可証を自主返納した場合も、欠格事由に追加されました。 - 反社会的勢力の排除
暴力的不法行為を行うおそれがある者が、出資や取引を通じて事業活動に支配的な影響力を持つ場合も、許可が認められなくなりました。
名義貸し以外にも注意すべきケース
名義貸しと直接同じ問題ではありませんが、以下のようなケースも法的なリスクを伴います。
深夜酒類提供飲食店が実態として接待を行っている場合
深夜酒類提供飲食店営業の届出で営業しているバーやガールズバーが、実態として接待行為を行っているのであれば、本来必要な風俗営業1号許可を取得していないことになり、無許可営業に該当します。
まとめ
名義貸しは、貸した側・借りた側の双方が処罰対象となる重大な違法行為です。2025年の風営法改正により、個人には最大で5年の拘禁刑・1,000万円の罰金、法人には最大3億円の罰金が科される水準にまで引き上げられました。
欠格事由がある場合は、無理に名義貸しをするのではなく、欠格期間が明けるのを待つか、許可が不要な業態への転換を検討するのが現実的な選択肢です。
「自社の経営体制に法的なリスクがないか」「法人化にあたって許可の取り直しが必要か」といった判断に迷う場合は、事前に行政書士や弁護士等の専門家にご相談ください。
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