2025年の風営法改正は二段階に分けて施行されました。2025年6月28日施行の第一段階では、色恋営業の禁止および罰則の大幅強化が先行して実施されました。そして2025年11月28日施行の第二段階では、許可申請および既存許可の維持に直接影響する欠格事由の拡大が実施されています。
今回の改正が複数店舗を運営する事業者にとって特に重大なのは、「法人格が異なれば別の扱い」という従来の前提が崩れた点にあります。グループ内の関連会社が許可取消処分を受けた場合、密接な関係を有する他の法人にも欠格事由が波及する仕組みが新たに導入されました。
改正前の問題と改正の趣旨
改正前は、各法人が独立した存在として扱われていたため、グループ内の1社が許可取消処分を受けても、他の関連会社の許可には原則として影響がありませんでした。
この仕組みを利用した処分逃れが業界内で横行していました。具体的には、警察の立入調査が実施されると取消処分の決定前に許可証を返納して処分を回避し、関連会社で同じ営業を再開するという手法です。グループ内の1社が処分を受けても他の関連会社はそのまま営業を継続できるという構造も、同様の抜け穴として機能していました。
今回の改正は、こうした処分逃れを封じることを主たる目的として、欠格事由の対象範囲をグループ法人にまで拡大したものです。
新設された欠格事由(風営法第4条第7号)
改正により新たに追加された風営法第4条第7号は、許可を受けようとする法人と「密接な関係を有する法人」が過去5年以内に許可を取り消されている場合、当該法人も欠格事由に該当すると定めています。
同号が定める密接関係法人の範囲は以下のとおりです。
イ(親会社等) 許可を受けようとする者の株式の所有その他の事由を通じて、当該者の事業を実質的に支配し、またはその事業に重要な影響を与える関係にある法人。
ロ(兄弟会社) イに掲げる親会社等が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、またはその事業に重要な影響を与える関係にある法人。
ハ(子会社) 許可を受けようとする者が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、またはその事業に重要な影響を与える関係にある法人。
すなわち、許可を受けようとする法人を中心に置いたとき、上位にある会社(親会社)、横にある会社(兄弟会社)、下位にある会社(子会社)のいずれもが影響を受ける可能性があります。
既存許可への影響
グループ内のいずれかの法人が許可取消処分を受けた場合、密接な関係を有する法人は処分の日から5年間、新規許可を取得できなくなります。さらに、既に保有している許可についても、風営法第8条の規定により取消処分の対象となる可能性があります。
「密接な関係」の具体的な判断基準
条文にある「実質的に支配し、又はその事業に重要な影響を与える関係」の具体的な基準は、国家公安委員会規則で定められています。
形式的に明確な支配関係として、議決権の50%超を保有している場合(株式会社)、資本金の半分以上を出資している場合(合同会社等)が挙げられます。
しかし、株式の保有割合が50%未満であっても、以下のような実態がある場合には支配関係が認定される可能性があります。
- 取締役の過半数を派遣していること
- 財務や営業に関する重要な意思決定を実質的に掌握していること
- 事業資金の大部分を提供していること
- 主要な取引先や技術を独占的に提供して事業を実質的に支配していること
つまり、「名義上は別法人にしてある」「出資割合を49%に抑えてある」といった形式的な分離は、実態を伴わなければ支配関係の認定を免れる根拠にはなりません。審査においては、書面上の構造ではなく経営の実態が問われます。
立入検査後の許可証返納による処分逃れの封止
改正前は、警察の立入検査が実施された後であっても、取消処分の決定前に許可証を返納することで欠格事由の発生を回避することができました。返納によって処分自体が成立しなくなるため、欠格事由のカウントが始まらないという構造があったためです。
改正後は、欠格事由が成立する起算点が立入検査の実施日に前倒しになっています(風営法第4条第8号)。処分が決定する前に許可証を返納したとしても、立入検査が実施された時点から欠格事由のカウントが開始されます。これにより、いわゆる「駆け込み返納」による処分逃れは実質的に封じられました。
過去に警察の立入検査を受けた経緯がある事業者は、その事実が今後の許可申請または既存許可の維持にどう影響するかを確認しておく必要があります。
経過措置がないことの実務的影響
今回の改正には経過措置が設けられていません。これは実務上、重大な意味を持ちます。
2025年11月28日より前に申請されていた場合であっても、同日までに許可処分が出ていない申請には新法が適用されました。風俗営業の許可申請の標準処理期間は55日とされていますが、土日祝日を除いて計算されるため実際には70日以上を要するケースも珍しくありません。2025年9月中旬以降に申請していた場合、処分が施行日をまたぐ可能性があり、申請時点では旧法の基準を満たしていても、処分時点で新法の基準に抵触すれば不許可となった事例も生じています。
まとめ
今回の改正の核心は、「法人格が異なれば別の問題」という従来の前提が崩れたことにあります。グループとしての実態がある以上、関連会社の1社が処分を受ければその影響がグループ全体に及ぶという構造を正確に理解したうえで、自社の経営体制と許可の状況を改めて確認することが求められます。
複数の法人に分けて店舗を運営している場合、ホールディングス体制でグループ展開している場合、過去に警察の立入検査や行政指導を受けた経緯がある場合は、問題が表面化した後では対応が困難になるケースがあるため、現状の把握を早期に行うことが重要ですので、早期の確認と専門家への相談を推奨します。
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