キャバクラ・ガールズバー・スナック等の飲食店を開業・運営するにあたって、自分の店が風営法上のどの区分に該当するかを正確に把握することは、適法な営業の前提となります。
風営法に抵触するかどうかは店舗の名称や業態の呼称によって決まるものではなく、実際にどのような営業を行っているかによって判断されます。
2025年6月28日施行の改正風営法により無許可営業に対する罰則が大幅に引き上げられた現在、「今まで問題がなかった」という事実は今後の適法性を何ら保証しません。本コラムでは、飲食店に関係する風営法上の三つの区分を整理したうえで、特に問い合わせの多い風俗営業1号許可(接待飲食等営業)における接待の判断基準を解説します。
許可制と届出制の違い
風営法上の手続きは、許可制と届出制に大別されます。
許可制は、公安委員会による審査を経て認められて初めて営業が可能となる制度です。申請から許可取得までに一定の期間を要し、審査基準も厳格です。許可取得後も違反があれば取消しの対象となります。
届出制は、一定の要件を満たしていることを届け出る制度であり、許可制と比較して手続きは簡便です。ただし、届出を行えば何でも許容されるわけではなく、届出の要件から外れた営業を行えば違法営業となります。
飲食店に関係する風営法上の三つの区分
(1)風俗営業(1号・2号・3号)【許可制】
風営法第2条第1項に規定される風俗営業のうち、飲食店に関係する主な類型は以下のとおりです。
接待をして客に飲食させる営業です(同項第1号)。キャバクラ・ホストクラブ・ラウンジなど接待を行うお店が該当します。
風営法許可といえば実務上ほとんどこの1号許可を指します。
客席の照度を10ルクス以下として営む飲食店です(同項第2号)。
接待の有無にかかわらず、照度基準への該当のみで許可が必要となります。
外部から見通すことが困難で、かつ面積が5㎡以下の客席を設けて営む飲食店です(同項第3号)。
個室と称しているかどうかではなく、構造と面積の要件が揃うかどうかで判断されます。
(2)特定遊興飲食店営業【許可制】
音楽・ダンス・ショー等の遊興を提供しつつ、深夜帯(午前0時以降)に客に飲食させる営業です(風営法第2条第11項)。深夜に営業するクラブやライブハウス等が典型例ですが、バーであっても演出の内容によっては該当する場合があります。
(3)深夜酒類提供飲食店営業【届出制】
深夜(午前0時から午前6時)に酒類を提供することをメインとする飲食店に適用される届出制度です(風営法第33条第1項)。許可制ではないため手続きは比較的簡便ですが、接待行為を行わないことが絶対的な前提です。風俗営業許可を取得せずに接待行為を行った場合、無許可営業(風営法第3条違反)となります。
2025年改正以降、深夜酒類提供飲食店営業の届出のもとで接待行為を行っていたガールズバー等の摘発が増加しています。これは、届出制度の前提要件を満たさない営業を行っていたことによるものです。
1号許可が必要となる理由
風営法が接待飲食等営業を許可制とする理由は、接待を伴う営業が一般の飲食店と比較してトラブル(客同士・従業員との紛争、酔客対応、料金・勧誘をめぐる問題等)が発生しやすく、地域の治安や生活環境に与える影響が大きいためです。
このため風営法は、接待を伴う営業を誰でも自由に開始できる営業形態とせず、一定の基準を満たした店舗のみに許可を付与する制度を採用しています。
接待の法的定義と具体的な判断基準
(1)条文上の定義
風営法第2条第3項は、「接待」を「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義しています。この定義は抽象的であるため、実務上の判断は警察庁の解釈運用基準に基づいて行われます。
(2)接待に該当しやすい行為
以下の行為は、警察庁の解釈運用基準上、接待と評価されやすいとされています。
- 特定の客のそばにはべり、継続して談笑の相手となること
- 特定の客に継続してお酌をすること
- 客とのカラオケにおけるデュエット・手拍子・褒めはやし
- 客とのゲーム・遊戯への参加
- 特定客への誕生日演出等の個別サービスの常態化
これらに共通する要素は、特定の客に対して継続的に関与していることです。
(3)接待が問題となる典型的なパターン
スタッフが席に付く営業
キャバクラ・ラウンジのように、スタッフが特定の客のそばで継続的に会話・お酌・盛り上げを行う運用は、接待の典型例です。判断の核心は「席に座ったかどうか」ではなく、特定の客に対して継続的なサービスを提供する構造があるかどうかです。
カラオケ・ゲームの使われ方
カラオケや遊戯設備の設置それ自体が直ちに問題となるわけではありません。しかし、スタッフが特定の客とデュエットする、ゲームの相手となるといった運用が常態化している場合、接待と評価される可能性が高まります。客同士が自発的に楽しむ場合と、店のスタッフが楽しませる役割を担っている場合とでは、法的な評価が異なります。
カウンター越しの接客
カウンターを挟んでいることは、接待該当性の判断において決定的な要素にはなりません。特定の客と長時間継続して会話を行っている場合、物理的な位置関係にかかわらず接待と評価されます。指名制度・推し制度・キャストドリンク等の仕組みは単体で直ちに違法とは言えませんが、これらが重なることで店舗全体の運営が接待を前提としているという評価につながります。
深夜酒類提供飲食店営業と1号許可の両立
深夜酒類提供飲食店営業の届出と風俗営業1号許可は、同一店舗において原則として併用できません。
というのも、深夜営業を行う場合は接待を行わないことを前提とする(深夜酒類提供飲食店営業)と、接待を行う場合は深夜営業を原則禁止として許可制による管理に服させる(風俗営業1号)という二つの制度は、互いに相容れない前提の上に成り立っているからです。
まとめ
風営法上の区分は、店舗の名称や業態の呼称ではなく、実際の営業内容によって決まります。判断の中心となるのは接待行為の有無と深夜営業の要否の二点であり、この組み合わせによって必要な手続きが決定されます。
2025年の改正により無許可営業に対する罰則は、個人で5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金またはその併科、法人で3億円以下の罰金へと大幅に引き上げられています。これから開業する方は最初から適切な手続きを選択すること、既に営業している方は自店舗の運用が現行法令に照らして適法かどうかを改めて確認することが求められます。判断に迷う場合は、早期に専門家へ相談することを推奨します。
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風営法は、接客の内容や店内の作り、そして営業時間によって、必要な手続きがガラリと変わります。基準が細かく、自己判断で進めるのがなかなか難しい分野でもあります。
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