新規で夜のお店を出したいとご相談に来られる際に、「うちはスナックバーとして出店したいので、料理は出さないんだけど、それでも飲食店営業許可は必要なの?」といったご質問をいただくことがあります。
夜のお店を開くには、最低限として警察署と保健所、二つの役所の窓口に足を運ぶ必要があり、保健所で手続きをされる飲食店営業許可と風営法上の許可・届出は、それぞれ別の法律に基づく別の手続きです。本コラムでは、この二つの関係について解説します。
飲食物を提供する以上、飲食店営業許可は必須
店内で客に飲食させる営業を行う以上、しっかりした料理を出すかどうかにかかわらず、原則として保健所での飲食店営業許可が必須になります。酒類や乾きもの中心の営業であっても同様です。
風営法の届出や許可申請を警察署で行うからといって、飲食店営業許可が免除されるわけではありません。両者はまったく別の法律に基づく手続きであり、どちらか一方を取れば良いという関係にはありません。
つまり、飲食物を提供するお店の営業に必要な許可・届出は、営業形態に応じて次のようになります。
- すべての飲食店 → 保健所への「飲食店営業許可」(食品衛生法)
- 深夜0時以降も酒類を提供する場合 → 上記に加え、警察署への深夜酒類提供飲食店営業の届出(風営法)
- 接待行為を行う場合 → 上記の飲食店営業許可に加え、警察署への風俗営業1号許可(風営法)
2021年食品衛生法改正で押さえておくべきこと
2021年(令和3年)6月1日に改正食品衛生法が施行され、営業許可制度が大きく見直されました。夜のお店の経営者にも関わるポイントを確認しておきましょう。
許可業種の再編
改正前は34業種に分かれていた営業許可が32業種に整理・統合され、従来の「飲食店営業許可」と「喫茶店営業許可」は「飲食店営業許可」に一本化されています。
HACCPに沿った衛生管理の義務化
原則としてすべての食品等事業者に、HACCPに沿った衛生管理が義務づけられました。スナック等の小規模店では、業界団体作成・厚労省公表の手引書も参考にしながら、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を行うことになります。
食品衛生責任者の設置
許可対象・届出対象を問わず、すべての施設で食品衛生責任者を置く必要があります。
【2025年風営法改正】接待飲食等営業への規制強化
2025年(令和7年)6月28日に風営法の一部改正法が施行されました(一部は同年11月28日施行)。キャバクラ・スナック・ホストクラブなど接待飲食等営業に対する規制が大幅に強化されており、これから開業を目指す方にも、すでに営業中の方にも重要な改正です。
新たな遵守事項の追加(第18条の3)
- 料金の虚偽説明の禁止
料金について事実と異なる説明をしたり、客に誤認させるような説明をすることが禁じられました。 - いわゆる「色恋営業」の禁止
客が従業者に恋愛感情を抱いていることに乗じて飲食等をさせる行為が禁止されました。 - 注文していない飲食物の提供禁止
客が注文していない飲食物を提供し、困惑させて飲食等をさせることが禁止されました。
違反した場合、公安委員会から指示・営業停止命令(最長6か月)・許可取消しなどの行政処分を受ける可能性があります。
罰則付き禁止行為の新設(第22条の2)
威迫による料金の支払い強要や、料金支払いのために売春・性風俗店勤務・AV出演等を要求する行為は、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金という刑事罰の対象となりました。
無許可営業の罰則強化
無許可営業に対する罰則も大幅に引き上げられています。
- 個人 ― 5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれらの併科
- 法人 ― 最大3億円の罰金
改正前は個人で2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金でしたので、格段に厳しい水準に引き上げられました。
スナック経営者が特に気をつけたいこと
多くのスナックは「深夜酒類提供飲食店営業」の届出のみで営業していますが、この届出による営業では接待行為が禁止されています。
今回の改正を機に、日々の営業で行っていることが接待に該当しないか、改めて見直しておくことをおすすめします。たとえば、スタッフが客の隣に座って長時間会話をする、カラオケでデュエットする、お酌をした後に継続して談笑するといった行為は、通常接待とみなされる可能性が非常に高いです。
もし営業の実態が接待型にあたるのであれば、風俗営業1号許可の取得が必要です。「うちは飲食店だから問題ない」と思い込まず、早めに許可を取得しておくことが、安心して営業を続けるための第一歩といえるでしょう。
まとめ
キャバクラやスナックを開業する際には、まず保健所で飲食店営業許可を取得することが大前提です。そのうえで、営業形態に応じた風営法上の許可・届出を取得します。飲食店営業許可と風営法の手続きは、いずれか一方ではなく両方が必要であるという点を、しっかり押さえておきましょう。
あわせて、2021年の食品衛生法改正によるHACCPの義務化、2025年の風営法改正による規制強化と罰則の大幅引き上げにも、十分な対応が求められます。飲食店営業許可についても、図面の添付が必要になりますので、時間がない場合や自分では手続きが難しい場合には、行政書士等の専門家へ相談するのも一つです。
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