風営法が義務付ける従業者名簿の作成・管理とは

警察による立入検査で最初に確認される書類が従業者名簿です。風営法第36条が義務付けるこの書類は、18歳未満の就労防止・外国人の不法就労防止という法的要請を背景に設けられており、単なる形式的な書類ではありません。

名簿の不備は、それ単体で100万円以下の罰金の対象となるほか(風営法第53条)、「管理が甘い店」という心証を与え、頻繁な立入検査を招く端緒にもなります。2025年6月28日の改正風営法施行以降、業界全体への監視が強化されている現在、名簿管理の重要性はこれまで以上に高まっています。

目次

従業者名簿が義務付けられる理由

(1)18歳未満の就労防止

風俗営業における18歳未満の雇用は厳格に禁止されており、違反した場合は1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金またはその併科が科されます。単に「知らなかった」は免責事由になりません。本籍地入りの住民票と写真付き身分証による本人確認の徹底が、このリスクを防ぐ最低限の対策です。

(2)外国人の不法就労防止

在留資格を持たない外国人、または就労が認められていない在留資格(観光ビザ・留学・家族滞在等)の外国人を働かせることは、不法就労助長罪として経営者も処罰対象となります(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)。なお、資格外活動許可がある場合であっても、風俗営業での就労は一切認められません。在留カードによる就労資格の確認は採用時の絶対的な確認事項です。

(3)法令遵守の証明

名簿が適切に整備されている店舗は、警察から「法令を遵守して営業している」と評価されます。立入検査で速やかに提示できれば、それ以上の調査に発展しにくくなります。逆に不備があれば心証が悪化し、短いサイクルでの再検査を招きます。

「従業者」の範囲

風営法が「従業員」ではなく「従業者」という語を用いているのは、雇用形態を問わず業務に従事する者全員を対象とするためです。正社員・アルバイト・業務委託のキャスト・派遣スタッフはもちろん、体験入店者・1日限りのヘルプ・週1回しか出勤しないキャストも対象です。出勤頻度や雇用形態による例外はありません。

対象外となるのは、経営者本人(別途、許可申請時に届出が必要)および設備メンテナンス業者等、店舗業務に直接従事しない外部業者などに限られます。

必須記載事項と添付書類

(1)記載事項

従業者名簿には以下の7項目を記載します。

  • 氏名(源氏名ではなく本名)
  • 住所
  • 生年月日
  • 本籍(日本人)または国籍(外国人)
  • 採用年月日
  • 従事する業務内容
  • 退職年月日(退職後も3年間保管義務あり)

(2)添付書類

名簿には以下の書類を添付します。

  • 本籍地が記載された住民票(マイナンバー・住民票コード欄は省略したもの)
  • 写真付き身分証明書のコピー(運転免許証・マイナンバーカード・パスポート等)

運転免許証やマイナンバーカードには国籍の記載がないため、これらのみでは風営法上の要件を満たしません。住民票は国籍を証する書類として必須であり、写真付き身分証は本人確認のために実務上不可欠です。本籍地入りの住民票+写真付き身分証の2点セットが実務上の標準です。

(3)外国人従業者の場合

在留カードまたは特別永住者証明書を確認し、以下の点を必ずチェックします。

  • 在留資格の種類(留学・家族滞在等は原則就労不可)
  • 資格外活動許可の有無(ただし風俗営業への就労は不可)
  • 在留期限(期限切れは不法就労)

名簿の管理・保管上の注意点

(1)更新のタイミング

従業者名簿は作成して終わりではなく、以下のタイミングで必ず更新します。

  • 新規採用時:採用当日から必要(体験入店も含む)
  • 住所変更時:遅滞なく更新し、新しい住民票を取得
  • 退職時:退職年月日を記入し、3年間保管後に適切に廃棄

(2)保管場所

店長不在時でもスタッフが速やかに提示できる場所に保管します。ただし個人情報を含む重要書類であるため、鍵のかかる場所での保管が推奨されます。複数店舗がある場合は、本社での一括管理ではなく各店舗ごとに作成・保管します。

(3)電子データでの保管

風営法施行規則第107条により、電子データでの保管も認められていますが、「必要に応じて直ちに表示または印刷できる状態」であることが条件です。立入検査時にパスワードを失念していた・端末が起動しなかったといった理由で表示できない場合は不備とみなされます。電子管理を採用する場合でも、紙での保管を併用することを推奨します。

(4)履歴書との混同

「履歴書があれば従業者名簿は不要」という誤解が見られますが、履歴書は求職者が提出するものであり、店舗側が作成・管理する法定書類である従業者名簿の代替にはなりません。

立入検査への対応

警察による立入検査は予告なく行われます。適切な対応として、警察官の立入を拒否しないこと(拒否それ自体が100万円以下の罰金の対象)、従業者名簿を速やかに提示すること、質問には正直に回答すること、不備を指摘された場合は素直に認め改善を約束することが求められます。

一方で、絶対に避けるべき行為として、立入の拒否・妨害、虚偽の説明、名簿がないのに「ある」と言い張ること、証拠隠滅を図ることが挙げられます。いずれも事態を深刻化させる要因となります。

まとめ

従業者名簿は、風営法第36条が課す法的義務であると同時に、18歳未満就労・不法就労という重大リスクから店舗を守るための実務上の防衛策でもあります。管理上の核心は以下の四点です。

業務に従事する者全員を対象とすること(雇用形態・出勤頻度を問わない)、住民票と写真付き身分証の2点を必ず添付すること採用当日から名簿を整備し退職後3年間保管すること立入検査時に即座に提示できる状態を常に維持すること

名簿の整備状況は、警察が店舗の管理体制を判断する最初の指標です。日常的な適正管理が、信頼できる営業者としての評価につながります。

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