風俗営業の許可申請において、図面作成や構造要件と並んで実務上の障害となりやすいのが管理者の選任です。申請直前になって管理者候補が欠格事由に該当すると判明し、候補者を探し直すケースは珍しくありません。
風営法では、風俗営業者に対して営業所ごとに管理者を選任することを義務付けています。管理者は誰でも就任できるわけではなく、専任要件と欠格事由の双方を満たす必要があります。本記事では、管理者の法的位置づけ、専任要件、および欠格事由を整理します。
管理者の法的位置づけ
管理者とは、風俗営業を行う営業所において業務が適正に行われるよう統括管理する者です(風営法第24条第1項)。店長職との兼任は実務上多く見られますが、「店長」という肩書きや営業所への常駐の事実のみをもって管理者の要件を満たすわけではありません。
管理者として選任されるには、当該営業所の専任者であることおよび欠格事由に該当しないことの両方が必要です。
専任要件
管理者は、営業所ごとに専任でなければなりません。したがって、既に他の営業所で管理者に就任している者を、新たな営業所の管理者として申請することは原則として認められません。
例外的に、営業所同士が接している等の一定の条件を満たし、かつ公安委員会の承認を受けた場合に限り兼任が認められる場合があります。ただし、兼任が許容されるケースは限られており、運用上の判断が介在しやすい部分でもあるため、兼任を前提とした申請を検討する場合は事前に管轄警察署に確認することを推奨します。
管理者の欠格事由(風営法第24条第2項)
風営法第24条第2項は、管理者の欠格事由として以下の三つを定めています。
(1)未成年者
管理者に就任するには満18歳以上であることが必要です。2022年4月の民法改正により成年年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、18歳未満の者は管理者になることができません。
(2)風営法第4条第1項所定の欠格事由への該当
管理者については、営業許可の欠格事由(風営法第4条第1項)のうち、第1号から第4号、第6号、第8号から第10号に該当する者が欠格とされています。
各号の主な内容は以下のとおりです。
| 号 | 内容 |
|---|---|
| 第1号 | 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者 |
| 第2号 | 破産者で復権を得ていない者 |
| 第3号 | 一定の刑罰歴(罪名を問わず1年以上の拘禁刑、または特定の罪による拘禁刑・罰金)を受け、執行終了等から5年を経過していない者 |
| 第4号 | 集団的または常習的に暴力的不法行為等を行うおそれのある者 |
| 第6号 | 過去に風俗営業許可を取り消され、取消しから5年を経過していない者 |
| 第8号 | 処分回避目的で許可証を返納し、返納から5年を経過していない者 |
| 第9号・第10号 | 処分逃れを目的とした合併・分割に関係する者 |
各欠格事由の詳細な解釈(刑罰歴の起算点、対象罪種の範囲等)については、許可申請における人的要件と同様の判断基準が適用されます。
2025年改正との関係
2025年5月の風営法改正により第4条に第7号(密接関係法人の取消し歴)が追加されましたが、管理者の欠格事由を定める第24条第2項は第7号を参照していないため、管理者には第7号の適用はありません。
また、2025年6月1日の刑法改正により、従来の「懲役」「禁錮」が「拘禁刑」に統一されており、第3号の文言もこれに対応しています。
(3)心身の故障により管理者業務を適正に行えない者
風営法施行規則上、「心身の故障」とは主に精神機能の障害により、管理者業務に必要な認知・判断・意思疎通を適切に行えない状態を指します。
診断名の有無のみで一律に判断されるものではなく、業務を適正に実施できる状態にあるかどうかが実質的な判断基準となります。
実務上の注意点
管理者の欠格事由は、許可申請における申請者・役員の欠格事由(第4条第1項)と参照条文の範囲が一部異なります。
申請者・役員については第1号から第13号すべてが問題となるのに対し、管理者については第5号(営業許可取消しに関する一部規定)・第11号(心身の故障に関する許可申請向けの規定)・第12号(法人役員に関する規定)・第13号(暴力的不法行為者による支配的影響力)は欠格事由として参照されていません。ただし、管理者自身の心身の故障については第24条第2項第3号として独立した欠格事由が設けられています。
申請にあたっては、管理者候補について欠格事由の有無を申請者・役員と同様に事前に精査しておくことが不可欠です。特に刑罰歴については、対象罪種の確認と5年の起算点の正確な把握が重要であり、記憶に頼らず客観的な資料で確認することを推奨します。
まとめ
風俗営業許可における管理者の選任要件は、専任性と欠格事由の不該当という二つの柱から成ります。
欠格事由は風営法第24条第2項に明定されており、
①未成年者、②第4条第1項所定の一定の欠格事由への該当、③心身の故障による業務不能
の三類型が定められています。
管理者候補の選定は、物件や内装の検討と並行して早期に行い、欠格事由の有無を客観的に確認しておくことが、申請手続きをスムーズに進めるための前提となります。2025年の法改正により欠格事由の範囲や罰則水準が変更されていることも踏まえ、不明な点は早期に専門家へ相談することを推奨します。
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