メンズエステは風営法の規制対象?判断基準と営業上のリスク

数年前から「メンズエステ」「リラクゼーション」という看板を掲げた店舗が全国的に増加しました。業界内では「鼠径部さえ触らなければセーフ」「リラクゼーションと書いておけば風俗扱いされない」といった話がよく出てきますが、こうした理解のまま営業を続けると、無届営業や営業禁止区域の問題につながりかねません。

そもそも、風営法は触れる体の部位の名前でも、看板に書かれた文字でも性風俗店か否かを区分していません。よって、規制の対象になるかどうかは、実際にどういうサービスをどこで行っているか、という営業内容の実態で決まります。本コラムでは、メンズエステ・回春エステが風営法上どの類型に当たり得るのか、そもそも規制対象になるのかという視点から整理します

目次

なぜ「メンズエステ」が増えたのか

風営法のもとで、お店側が性的サービスを提供する場所を用意して営業をする店舗型営業には、非常に厳しい立地規制がかかります。学校・図書館・児童福祉施設等の周囲200メートル以内での営業禁止に加え、都道府県条例がさらに上乗せで禁止地域を指定しています。警察庁の説明によれば、ファッションヘルス等について県内全域を禁止地域としている都道府県も多く、新規で店舗型の届出が可能な場所を確保するハードルは、多くの地域で相当高いのが実情です。

こうした規制を背景に普及したのが無店舗型(いわゆるデリヘル)です。客が用意したホテルや自宅にスタッフを派遣する形式であれば、店舗型のような立地規制は受けません。派遣型の回春エステや性感マッサージが増えたのも、この流れによるものです。

そしてメンズエステは、こうした2系統のどちらにも属さない、というよりも属さないような体裁をとっている業態です。「うちはリラクゼーションであって性的サービスではない」という立場をとることで、性風俗関連特殊営業の届出そのものが不要であり、立地規制も関係ないという理屈です。

この理屈が通るかどうかは、もちろん店側が言い張れるかどうかではなく、実際にどんな営業をしているかで決まります。

そもそも風営法の規制対象になるか

風営法上、性的な接触サービスを行う営業は「性風俗関連特殊営業」として届出が義務付けられます。これに当たるかどうかは、業態の呼称ではなく、提供している役務の内容と、その役務をどこで行っているかで判断されます。

「メンズエステ」という名称であっても、提供しているのが通常のマッサージや身体のケアにとどまるのであれば、それ自体は性風俗関連特殊営業には当たりません。一方、個室を設け、そこで異性の客の性的好奇心に応じた接触サービスを提供している実態があれば、話は変わってきます。

該当性は、店名や説明ではなく、実際の営業実態に基づいて判断されますので、看板や広告に記載される文言ではなく、現場でどういうサービスが行われているかが問われます。

「性的好奇心に応じた接触」とはどういう意味か

店舗型性風俗特殊営業(風営法第2条第6項第2号)は、「個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」と定義されています。

一般的なマッサージやリラクゼーションでも、施術者は客の体に触れます。しかしそれは筋肉をほぐす、血行を改善するといった施術目的の接触であって、性的好奇心に応じた接触ではありません。風営法が問題にしているのは、性的な興奮や満足を目的とした接触、あるいはそうした要素を含む接触があるかどうかです。

実際の判断は、接触の内容や態様、広告・メニューの表現なども含めて総合的に行われます。この点で、よく言われる「鼠径部さえ触らなければセーフ」という話は、触る部位がこの総合判断の一要素にすぎないという点で的外れです。鼠径部への接触がなくても、際どい衣装、過度な密着、性的な連想を誘うメニュー名や広告表現といった要素が重なれば、全体として性的好奇心に応じた接触と評価される可能性は十分にあります

「リラクゼーションと書いてあるから大丈夫」「本番行為がないから問題ない」「客が自発的に要求した」といった説明も同様で、いずれも風営法上の基準に照らした法的な根拠はありません。客の要求に応じてサービスを提供している以上、店としてそのサービスを提供していることに変わりはありません。

店舗型と無店舗型のどちらに当たるか

性風俗関連特殊営業に該当する場合、次に問題となるのが店舗型と無店舗型の区分です。

店舗型性風俗特殊営業(風営法第2条第6項)は、店側が用意した個室で客にサービスを提供する形態です。マンションの一室やルーム型の施設に客を入れて性的接触役務を提供している実態があれば、店名にかかわらずこの類型への該当性が問われます。

無店舗型性風俗特殊営業(同法第2条第7項)は、客が手配したホテルや自宅にスタッフを派遣してサービスを提供する形態です。派遣型の回春エステや性感マッサージがこれに当たります。

店舗型に該当すると判断された場合、風営法第28条の立地規制が重くかかり、新規に届出が可能な場所を確保するハードルは多くの地域で相当高いです。

回春エステ・派遣型の注意点

回春エステや性感マッサージはホテル・自宅への派遣スタイルが多く、形式上は無店舗型に近い営業です。客が手配した場所にスタッフを派遣する形であれば、無店舗型性風俗特殊営業として届出を行うことが前提となります。

ただし、派遣という形をとっていても、施術場所を店側が実質的に手配・確保している場合は判断が異なります。レンタルルームやラブホテルを店側で押さえて客を案内している、いつも同じ場所を店側が継続的に使用しているといった実態がある場合、警察庁の解釈運用基準上、店舗型として評価されるリスクがあります。

無店舗型として適法に運営するためには、施術場所はあくまで客側が手配し、店側が実質的に確保しない形を維持することが法的な前提です。

無届営業のリスク

風営法第53条は、店舗型・無店舗型のいずれについても、必要な届出書を提出せずに営業した者を処罰対象とし、6か月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその併科を規定しています。届出は提出した当日から営業できるものではなく、営業開始の10日前までに提出する必要があります。

また、無届のまま広告・宣伝・求人を行うことにも別途の問題が生じます。警察庁の解釈運用基準は、届出をしていない者はその営業を目的とした広告・宣伝を行ってはならないとしており、ホームページの開設、ポータルサイトへの掲載、求人の掲示もこれに含まれます。無届のまま集客を始めた段階で、すでに別の問題が重なる可能性があります。

まとめ

「メンズエステ」という名乗り方は、風営法上の規制対象かどうかの判断に影響しません。通常のマッサージ・リラクゼーションの範囲にとどまるのであれば性風俗関連特殊営業の問題にはなりませんが、個室を設けて異性の客の性的好奇心に応じた接触役務を提供しているのであれば、店舗型性風俗特殊営業への該当性が問われます

また、回春エステ・派遣型については、施術場所を客自身に手配してもらい、店側が実質的に確保することがないよう徹底することが、無店舗型として適法に運営するために非常に重要です。

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無店舗型性風俗特殊営業は、営業形態や広告の出し方、事務所の要件など、細かい基準があります。自己判断で進めて後から問題になるケースも少なくありません。

当事務所では、無店舗型性風俗特殊営業に関する相談を無料で受け付けています。 仙台市青葉区を拠点に、宮城県全域に対応しております。

これから開業する方はもちろん、「今の営業スタイルで届出を見直したい」といった現役の経営者様からのご相談も大歓迎です。 少しでも気になることがあれば、まずはお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。安心して営業を続けられるよう、しっかりサポートいたします。

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